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同業他社への転職!気をつけるべき点は?「営業秘密」漏洩で法的トラブルも

2019.5.21

有利な点の多い同業他社への転職ですが、不注意から法的トラブルに巻き込まれてしまうことがあります。今回はそんなトラブルに巻き込まれないためにも、同業他社への転職で気をつけなくてはならないことについて見ていきましょう。

手に職をつけられるサロンワークの場合、転職する際には同業他社へ転職するという人が多いのではないでしょうか?

サロンワークに限りませんが、今までのスキルや知識、キャリアを活かして転職活動をすることで早期に転職先が決まったり、好条件での転職ができたりと、同業他社への転職は転職希望者にとって大きなメリットがあります。

ただし、同業他社へ転職する際には気をつけなくてはならないこともあります。

実は同業他社への転職をめぐり、元の会社との間で法的なトラブルになってしまうこともあるのです。

今回はそんな同業他社への転職の際に気をつけたい、3つのポイントについて見ていきましょう。

 

同業他社への転職が制限されていることも。「競業避止義務」とは

原則として、労働者には退職の自由と転職の自由が認められ、日本国憲法でも職業選択の自由が認められているため、同業他社への転職を会社側から制限されることはありません。

ただし、在職している会社の就業規則や、入社時や退社時に交わした個別の誓約書(契約書)に「競業避止義務」(特約)が明記されている場合には注意しなくてはなりません。

「競業避止義務」とは在職中もしくは、退職後の従業員が同業他社で働くこと(競業行為)等を禁止・制限するもので、従業員が競合の企業で働くことで企業が損害を受けないようにするためのものです。

この「競業避止義務」により、退職後の同業他社への転職や開業が一定期間制限される場合があるのです。

ただ、「退職後」の競業避止義務に関しては、先ほど書いた通り職業選択の自由に抵触することもあり、原則として就業規則もしくは個別の誓約書などにその旨がある場合のみ、会社側と従業員の双方の合意があったとみなされ、一定の効力を持つものとされています。

そのため、一般の会社員が同業他社に転職すること自体で元の会社とトラブルになることは非常に少ないのですが、慎重を期すという意味でも、退職後すぐに同業他社へ転職したい場合には、就業規則、もしくは入社時や退職時の個別の誓約書(契約書)に競業避止義務に関する項目(特約)がないかどうかをしっかりと確認し、トラブル回避に努めましょう。

具体的には「退職後◯年間は同業他社に転職しない」というような文言が就業規則や雇用契約書、退職時の誓約書にあるかどうかですね。

 

在職中の部下や同僚の引き抜きで損害賠償も

同業他社へ転職する場合に気をつけなくてはならないことの2つ目は、在職中の引き抜き行為です。

つまり、自分の部下や同僚を積極的に勧誘して、自分と一緒に転職先に連れていくことです。

同業他社への転職に限った話ではありませんが、在職中に引き抜き行為を行えば、これは会社に対して不利益を与える行為(背任行為)と認められます。引き抜きにより損害が出てしまった場合は、民法第709条「不法行為による損害賠償」の対象となり、訴えられた場合、損害賠償を支払う可能性や、退職金などの返還を命じられる可能性が出てくるのです。

人手不足の会社が多い中、人材の流出は経営悪化に直結します。特に転職先が同業他社である場合、それまで在籍していた会社に損害を与える可能性が大きくなることから、損害賠償トラブルに発展することは十分に考えられます。

仲の良い同僚や、頼りにしている部下を一緒に連れて転職したいという人もいるかもしれませんが、不要なトラブルを生じさせないためにも、原則として転職活動や独立開業準備は一人で行うということを徹底するのが望ましいでしょう。

 

「営業秘密」漏洩で法的トラブルも!

同業他社へ転職した場合、転職してからの行動にも気をつけなくてはいけません。中でもトラブルになりやすいものといえば「営業秘密」の漏洩です。

営業秘密とは、いわゆる会社の機密情報などと呼ばれる秘密情報の一種で、法的には、「秘密管理性」「有用性」「非公知性」の3つを満たすものを指します。

秘密管理性は、それが秘密事項だとわかる状態で、限定した人にしかアクセスできないように管理されている情報であることを指します。社外秘などのスタンプが押されていたり、社員しか見ることができないように管理されていたりするものなどが該当します。

有用性は、その情報が同業他社にとって財産的価値を有するものであることを指します。つまり、同業他社で使った場合、利益を生み出すような価値のある情報が営業秘密に該当します。反対に何も利益を生まないような情報は営業秘密とは言えません。

非公知性は一般的に知られていない状態にあることを指します。たとえば、インターネットなどで不特定多数に公開されている情報などは営業秘密に含まれません。

同業他社に転職し、以前在籍していた会社のこれら3つの条件を満たす営業秘密を使って利益を得ることは「不正競争行為」にあたり、元の会社に訴えられれば「不正競争防止法」違反として損害賠償を支払うことになる可能性があります。

そのため、同業他社への転職では特に営業秘密の取り扱いには気をつけなくてはならないのです。

 

美容業界で働いている人にとって最も身近な営業秘密といえば顧客名簿ではないでしょうか。

退職の際に会社で管理している顧客名簿から自分の顧客の個人情報を持ち出し、転職先でそれを使って営業や勧誘を行えば、当然、不正競争防止法違反に該当します。

これは、不正競争防止法を知らずに顧客情報を持ち出してしまった場合でも法的トラブルに巻き込まれてしまう場合があります。自衛のためにもしっかりと知識を身につけることが重要です。

また、転職の際に転職先企業から、顧客を連れてきてほしいと言われることがあるかもしれません。この場合、企業が不正競争防止法を知っていても知らなくても不法行為を強要されたことに違いありませんから、少し慎重にその会社について見極める必要があるかもしれません。

名簿のほかにも、ものすごく利益率の高い秘密の仕入れ先や、公開していないマッサージオイルのブレンド比率なども、営業秘密として認められることがありますので情報の取り扱いには十分に注意してください。

 

情報リテラシーと契約内容の精査がトラブル回避に

会社にとってみれば、従業員が同業他社へ転職してしまうことは、知識やスキル、ノウハウ、顧客情報、仕入れ先の情報などありとあらゆる情報が競合の企業へ流出してしまうリスクがあることです。

そのため、企業の利益にかかわる情報については就業規則や個別の誓約などによって厳密に保護されていることが多いのです。

トラブルを回避するためにも、今一度情報リテラシーや、契約書や誓約書の内容をしっかりと理解することについて考えてみると良いかもしれません。

メリットや有利になることの多い同業他社への転職ですが、不注意から損害賠償を支払うようなトラブルに発展してしまうこともあると肝に銘じ、転職活動や転職先での行動には十分に気をつけるようにしましょう。