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残業は拒否できる? 残業を断る正当な理由とは

2019.8.6

絶対残業しないをモットーに働く主人公を吉高由里子さんが好演し話題となったドラマ『わたし、定時で帰ります。』。実際のところ誰もがこのドラマの主人公のように「定時退社」を貫くことは可能なのでしょうか?

働き方改革関連法案の最初の施行とともにスタートしたドラマ『わたし、定時で帰ります。』。

現代の日本の職場で起こっているさまざまな労働問題を通して「働くことの意味」を見つめ直すこのドラマは、絶対残業しないをモットーに入社以来、定時で帰る生活を続けている主人公・東山結衣(吉高由里子)の姿に幅広い年齢層から賛否や共感を集め話題となりました。

このドラマでは必ずしも主人公のような「残業0」の働き方が誰にとっても正しい働き方として描かれているわけではありませんが、残業が日常的にある人や、定時ぴったりに退社することに罪悪感を抱かせるような職場で働いている人にとっては、主人公のようにしっかりとキャリアを重ねつつ、会社にも貢献しながら、それでも毎日残業をせずに定時で退社する…そんな姿をうらやましく思うこともあったのではないでしょうか。

とはいえ、会社に属する身。実際のところ上司からの残業命令を断って定時で帰ることなんてできるのでしょうか。

今回は残業について、

  • 残業は断ることができるのか?
  • 残業を断るとしたらどんな理由なら許されるのか?
  • 残業を断ることでクビになったりしないのか?

という3点について見ていきたいと思います。

 

残業のある会社では正当な理由がない限り残業命令を拒否できない

「労働基準法」において、原則として1日8時間、週40時間(法定労働時間)以上の労働は認められていません。

それではなぜ会社が従業員に対して法定労働時間を超えて残業をさせることができるかと言えば、労使間で労働基準法第36条に基づく「36(サブロク)協定※」を締結し、その旨を所轄労働基準監督署に届出ているからです。

※36協定とは、「1日8時間・週40時間」の法定労働時間を超えた残業を可能にするための、会社と従業員の間での協定のこと。

36協定の締結・届出により、会社と従業員双方が時間外労働・休日労働をすることに合意したとみなされ、残業させること・することが可能になります。

また、従業員に残業させるためには、36協定だけでは不十分で、さらに就業規則や個別の労働条件通知書(労働契約書)にも残業に関するルールが明記されていなければなりません。

つまり、労使間で36協定が締結され、なおかつ就業規則に残業規定について記載されており、さらに個別の労働条件通知書にも残業が有る旨が明記されている場合においては、会社は従業員に対して残業を命令ことができるのです。

そして、従業員は会社の業務命令に従う必要があるため、このような場合、正当な理由なく残業命令を拒否することはできないのです。

『わたし、定時で帰ります。』の主人公のように、自分の仕事を効率よく片付けて、周りに迷惑をかけなくても、会社から残業するよう命令されてしまえば、原則として拒否することはできないと考えてください。

 

残業を断れるか断れないかを知りたい場合には、

・36協定の有無
労使間で36協定を締結している場合、就業規則や雇用契約書などに記載されていることが多い

・就業規則の残業に関する規定
時間外・休日労働の規定として、「会社は残業を命じることができて、正当な理由がない限り、従業員はこれを拒否することができない。」のような文言があるか

・労働条件通知書
「所定時間外労働の有無」の欄が「有」となっているか。(契約社員やパート・アルバイトの人もチェックしておきましょう。)

を確認してみましょう。

 

正当な理由があれば残業を断ることも可能

前述のとおり、労使間で36協定を締結し、就業規則にも残業についての規定があり、労働条件通知書(労働契約書)にも残業が有る旨が明記されている場合、原則として残業命令に従う必要があります。

ただし、正当な理由がある場合には、残業を断ることができるとされていますので、ここでは、残業を断るに足る正当な理由について確認していきましょう。

 

・法に違反する残業命令

36協定には1日・1カ月・1年の単位で残業させることができる時間の上限が決められています。一般的には月45時間、年間360時間を超えて残業をさせることはできません。※特例あり

上限を超えた時間外労働を強制する残業命令には従う必要はありませんので、その場合、残業を拒否できます。

また、働き方改革によって、上限を超える時間外労働の強制には罰則が科せられることが決まっています(中小企業は来年4月から)。

残業を断りにくいという場合には、勤怠表を確認したうえで、「すでに上限を超えてしまっていますが大丈夫でしょうか?」と伝えてみても良いかもしれません。

もちろんそもそも36協定が結ばれていない、就業規則や労働通知書(労働契約書)にその旨の記載がない場合も残業は拒否できます。

▼36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/000350731.pdf

 

・体調不良

企業は従業員の健康に留意する義務があります。そのため、体調が悪いという理由で残業を断ることは可能です。

ただし、数日にわたり残業ができないほどの体調不良を自覚している場合には、業務が滞らないよう、早いうちに上司に相談した方が良いでしょう。

 

・妊娠している、もしくは出産から1年が経過していない

「労働基準法第66条2項、3項」の定めにより、妊娠しているもしくは出産から1年が経過していない従業員から申し出があった場合、36協定の有無にかかわらず、会社はその従業員に残業させることができません。

妊娠中、産後の体調は人によって大きく異なりますので、我慢せず、速やかに会社に申請しましょう。

 

・育児や家族の介護が必要な時

「育児・介護休業法」により、小学校入学前の子供がいる場合と要介護状態にある家族を介護する場合、従業員からの申し出があった場合、36協定の有無にかかわらず、残業の免除(3歳未満)および残業時間を制限(月24時間、年間150時間まで)することが認められています。

▼育児・介護休業制度ガイドブック(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/pdf/ikuji_h27_12.pdf

 

このような理由の場合は、法令等によって認められている理由にあたりますので、正当な理由として残業を断ることは可能です。

 

これ以外の理由においても、残業を断ることができる場合があります。

それは、その残業自体がどうしても必要ではない場合です。

そもそも残業命令は、必要最低限にすることが望ましいとされています。次の日でも十分間に合うなどの場合、交渉の余地はありそうです。

ちなみにドラマでは、主人公が定時で帰れる理由として、必要があれば残業するが、必要のない残業はしないというスタンスを周りに認めさせていました。(残業命令を拒否しているわけではない)

また、急な残業が入り、そのせいで従業員の利益を著しく損なう場合も会社側が残業を免除してくれることがあります。

この場合、残業の必要性や残業を断る理由(従業員の損害)を鑑みて、上司や会社が個別の案件ごとに判断します。会社としても従業員に損をさせたいわけではないので、ダメもとで相談してみるのも良いかもしれません。

 

残業を断ってクビになることはある?

会社が従業員に対して残業命令を行える場合、正当な理由なくその命令を拒絶することは業務指示命令違反として懲戒処分の対象となることがあります。

一般的に、どのような場合に懲戒処分になるかは就業規則に記載してありますので、確認しておくことをおすすめします。

とはいえ、よっぽど大きな損害を会社に与えたなどではない限り、数回の私的な理由による残業拒否で懲戒解雇(クビ)となることはあまり考えられません。

ただし、懲戒処分や懲戒解雇まではいかないとしても、査定や評価に影響することは十分に考えられますので、どうしても残業ができない事情がある場合には、それがわかった時点で上司に相談し、指示などを仰ぎましょう。

もちろん、再三の懲戒処分や警告を無視する形で残業拒否を重ねれば、最終的には懲戒解雇となってしまう可能性はありますので注意してください。

 

内定承諾前に残業規定についてしっかりと確認する!!

会社が従業員に対して残業命令を行える場合、原則として会社からの残業命令を拒否することはできません。そのため、場合によってはライフステージの変化などで会社を辞めざるを得ない状況になってしまうこともあります。

転職を考えている方は、面接や内定通知、労働条件通知書を受け取った際などに、その会社がどのような残業規定を持っているのかをしっかりと確認し、理解しておくことが大切です。

面接などで残業のことは聞きづらいという方もいるでしょうが、残業の有無や時間、頻度などはワークライフバランスを重視する上では大変重要な事項であることは間違いありません。内定を承諾する前に何らかの形で確認しておきましょう。

 

わたし、今日は定時で帰りたい!信頼関係がカギに

働き方改革により、残業に対する意識が少しずつ変化しているのを感じます。

とはいえ、いくら正当な理由があっても自分の仕事が終わらないまま帰ってしまったり、自分が断ることでほかの人にしわ寄せがいってしまったりする場合、周囲から顰蹙を買ってしまうこともあります。

今日は定時で帰ると決めたなら、自分の仕事を効率よく終わらせ、ほかの人に迷惑をかけないことを目指しましょう。

また、原則として断ることはできない残業命令ですから、それを断ってまで定時で帰れるのは上司や同僚の理解があって初めて成り立つことであることは理解しておきましょう。

いずれにせよ、普段からコミュニケーションを密にし、周囲との信頼関係を築いておくことが大切です。