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短歌にみる植物物語 ~3月 わらび~

2019.3.1

短歌の中に登場する植物にスポットを当てる「短歌にみる植物物語」。今月はわらび。おひたしやてんぷらにしても大変美味しい春の味覚を、短歌の中にも発見しました。

石走る 垂水の上の さわらびの 萌え出づる春に なりにけるかも  -志貴皇子

「岩の上を激しく流れ落ちる滝の水。そのほとりに蕨(わらび)が芽を出し始めている。春になったのだなぁ」と、その喜びを歌った歌です。

今と違って、暖房設備も食材の保存も十分にできなかった時代には、植物が育ち始める春がどれほど待ち遠しかったことでしょう。

雪や霜に覆われた墨絵のような景色の中に、山菜の芽吹きを見つけて、待ちに待った春の到来を感じている、そんな喜びが伝わってくるような歌です。

 

作者の志貴皇子(しきのみこ)は、天智天皇の皇子です。今で言うなら皇太子ですね。

何となく品のいい言葉の響きを持つ歌だなと感じるのは、出自を知ったからでしょうか。

歴史の教科書で習った「壬申の乱」で、天武天皇に敗れ皇位を失ったのが天智天皇。

その息子だった志貴皇子は皇位継承とは無縁になった事もあり、政治よりも和歌などの文学を愛し、その道を生きた人だったようです。万葉集にも6首の歌を残しているとの事なので歌人として大成したということなのでしょう。

 

わらび

歌の中にある「さわらび」は芽生えたばかりの蕨のことです。

蕨はシダ類の植物です。シダは何億年も前からあった植物で、人々の暮らしに役立ってきました。種類もとても多いのですが、食用としてはワラビ、ゼンマイ、コゴメ、ツクシなどが有名です。

蕨は灰汁が強いのであく抜きをしてから調理をします。そのまま食べると中毒を起こすことがあるそうなので注意が必要です。

蕨の根茎のデンプン質を粉にして作ったお餅が、今でも人気のある「わらび餅」。美味しいですよね。

戦国時代には、畳の下にこの粉を撒いて置き、籠城で食べ物が無くなった時には、お餅にして食べたとも言われています。

「養生訓」で有名な江戸時代の儒学者貝原益軒も、「ワラビは、貧民の飢をたすけ救う事クズにまされり。3月めだち出ては根に粉なし。9月以後、2月以前根をとる。半年の食とすべし。甚民食を助く。」と言っています。保存食として人々の暮らしを助けていたということです。

 


様々な花が咲き競い、野菜やハーブも育ち始める3月。

日本人にとっては別れの季節でもありますが、新しいことが始まる出発の季節でもあります。寒い季節に感じていた体と心のこわばりも緩み、生まれ変われるように感じます。

新しい季節を植物と共に謳歌したいですね。