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短歌にみる植物物語 ~5月 栴檀(せんだん)~

2019.5.4

令和の時代が始まりましたね。今月は新しい季節への移行と香りを感じる和歌を選んでみました。

令和の時代が始まりましたね。

今月は新しい季節への移行と香りを感じる和歌を選んでみました。

 

かをりあふ 庭のあふちの 花散りて あやめが軒を 過ぐる夕風  -藤原家隆 

(「玉吟集」守覚法親王家五十首)

 

【訳】

庭で初夏の花々と共に香りを放っていた「あふち(オウチ)」の花も散り、「あやめ(菖蒲)」を飾った軒を、香りと共にすがすがしい夕風が通り抜けていく

 

【藤原家隆】

藤原家隆(ふじわら の いえたか)は、鎌倉時代初期の歌人。公家の中でも国政を担う重要な役職である公卿だった人です。

歌人としては、新古今和歌集の編者で、小倉百人一首にも皆さんご存知の有名な次の和歌が残されています。

「風そよぐ ならの小川の 夕暮れは みそぎぞ夏の しるしなりける」

(従二位家隆98番『新勅撰集』夏・192)

こちらも晩夏から初秋の季節の変化を詠った歌で、風はすっかり秋となり六月祓(みなづきばらえ)のみそぎの行事だけが夏の気配を残しているといった内容です。情景や風の心地よさを感じる歌ですよね。

 

栴檀(あふち)

歌に登場する植物は「あふち」と「あやめ」です。

「あやめ(菖蒲)」については、以前「香り歳時記」や「日本の薬湯十二ヵ月」に書かせていただいたので、今回は「あふち」についてお話します。

「あふち」は「栴檀(せんだん)」の古い呼び名です。

栴檀は、センダン科センダン属の落葉高木で、5メートルから15メートルにまで成長し、5月から6月頃に淡い紫色の花を咲かせます。その甘い香りは、バニラやチョコレートにたとえられています。

和歌では、花は夏、実は秋の季語とされていて、山上憶良が万葉集に、清少納言が枕草子にそれぞれ歌を残しています。

 

植物の利用法

栴檀は街路樹などに利用されていて、木材は家具や下駄、木魚、琵琶の胴などに、果実や樹皮には薬効成分があるので、薬用としても利用されています。

 

生薬として

果実は苦楝子(クレンシ)、樹皮は苦楝皮(クレンピ)という名前で生薬として使われています。

苦楝子は、熟した実の果肉部分を生のまますりつぶして使います。あかぎれやしもやけなどの皮膚疾患に有効との事です。

苦楝皮は、樹皮を刻んで日に干して使います。煎じたものを飲むと虫下しになるそうです。

葉にも効用があり、粉末のままか煎じた液体を撒くと、稲の雑草を駆除するのに効果があるそうです。

栴檀は秋になると実をつけます。鳥などがついばみに来ますが、人間や動物には毒なので注意が必要です。散歩の途中で栴檀の実が落ちているのを見つけたら、ワンちゃんが食べないように注意してくださいね。

 


「栴檀(せんだん)は双葉(ふたば)より芳(かんば)し 」ということわざがあります。

成功する人は幼い頃からその片鱗がみられる、という意味のたとえで使われます。

この栴檀は白檀(びゃくだん)の事で、昔は良い香りがする樹木を全て栴檀と捉えていたようです。発芽のころから香気を放つ白檀にたとえて、大成する人は幼少の頃から優れているということを表しています。

今も昔も、香りのよい植物と人々の暮らしには密接な繋がりがあり、心と体と精神に大きな影響を与えているのですね。