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短歌にみる植物物語 ~9月 葛~

2019.9.2

朝夕しのぎやすくなったとはいうものの、まだ残暑の厳しい日が続いています。「短歌にみる植物物語」、今月は「葛」についてです。秋の情景を思い浮かべることができる歌で少しでも涼を感じていただければと思い、この一首を選びました。

 

 

きりぎりす 葛の葉つづく 草どなり 笛ふく家と 琴ひく家と -与謝野晶子

 

【読み】
きりぎりす くずのはつづく くさどなり ふえふくいえと ことひくいえと

 

【訳】
葛の草むらからキリギリスの声が聞こえています。その草むらの隣には笛を吹く家と、琴を弾く家があります。

 

秋の宵に、キリギリスの鳴き声と笛の音と琴の音が、静かに調和して聞こえる様子が目に浮かぶような歌です。情景を思い浮かべると少し肌寒いくらいの秋風が吹いてくるように感じます。日本の秋は美しいですね。

作者の与謝野晶子については、7月の「月見草」のコラムに書きましたので、そちらを参考にしていただけると嬉しいです。

今月の植物物語は、この歌に登場する「葛」についてです。

 

秋の七草の一つである葛(クズ)は、マメ科クズ属のつる性の多年草で、日本各地や東アジア東南アジアなどにも広く分布しています。

初秋に紅紫色の小さな美しい花を咲かせますが、生い茂った葉の下に隠れているので目立たないのが残念です。茎や葉は夏から秋にかけてグングン伸びて、邪魔者にされることも多いとか…。

葛は花も葉も根も茎も私たちの暮らしにとても役立っています。

 

葛の花と葉

花を乾燥させたものが葛花(かっか) です。

漢方薬として使われていて、煎じて飲むと二日酔いに効果があるとのことです。

葉はタンパク質を豊富に含んでいるので、かつては家畜の飼料として使われていたそうです。

 

葛のツルや茎

ツルは丈夫で腐りにくいので、縄として使われていました。

ツルや茎を水に浸して繊維を取って布にしたものが葛布。「くずふ」又は「かっぷ」と呼ばれています。

着物や帯、財布などの小物、暖簾や襖やテーブルセンターなどのインテリアにも使われています。素朴な風合いがとても素敵です。

ぜひ、暖簾を!と思ったのですが、これがなかなかの高級品で、ちょっと手が出ませんでした。

 

葛の根

漢方薬として有名な「葛根湯(かっこんとう)」は、その名前の通り葛の根のでんぷん質を粉末にしたものです。

体を温め発汗を促すので、風邪のひき始めにとても効果的です。フラボノイドやイソフラボンが豊富に含まれているので、女性ホルモン様の作用も期待できるそうです。

この根のでんぷん質を何度も水に晒して採られるのが葛粉(くずこ)です。

葛餅、葛切りなどのお菓子やお料理にも使われています。葛粉100%の物はとても高価なので、馬鈴薯の粉と混ぜて売られているものも多いそうです。

葛粉をお湯で溶かして、生姜や砂糖などを加えたものが葛湯です。身体を温めたり、体内の水分が減るのを防いだり、お腹の調子を整えるので、風邪のひき始めの特効薬として飲まれています。

 

葛餅で有名な船橋屋さんが、天保年間(1840年)に出したカタログ『菓子話船橋』には、最高級の「久助葛」を使って蒸羊羹を作っていると書かれてあるそうです。

そんなに古くから葛を使った和菓子を作っていたお店なのですね。

船橋屋さんの葛餅、これからは心して頂こうと思います。

 


お彼岸の頃には、秋らしい涼風がたつことと思います。

キリギリスやスズムシの声を聞きながら、葛餅を頂きたいですね。