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短歌にみる植物物語 ~1月 水仙~

2019.1.8

今年のコラムはちょっと変わった角度から、植物と人との関わりを探ってみようと思います。「短歌にみる植物物語」と題し、短歌の中に登場する植物にスポットを当てていきます。1月の植物は水仙。水仙が登場する短歌と、水仙の香りの特徴、効果などについてご紹介します。

皆さま、新年をいかがお過ごしでしょうか?

今年のコラムはちょっと変わった角度から、植物と人との関わりを探ってみようと思います。

日本文学の中でも、季節や文化を色濃く表しているのが俳句と短歌です。今回は短歌の中に登場する植物にスポットを当ててみたいと思っています。

短歌は、約31文字という短い言葉の世界です。その中に観る日本人の自然観や人生観、そして言葉の美しさを味わっていただき、日常生活に新しい視点を見つけていただけると嬉しいです。

さて、今月は水仙を取り上げます。水仙が登場する短歌と、水仙の活用、効果についてもご紹介します。

短歌にみる植物物語 ~1月 水仙~

真中の 小さき黄色のさかづきに 甘き香もれる水仙の花  ―木下利玄

【意味】
植物たちが皆雪の下に隠れてしまったようなこの季節に、可憐に咲く水仙の花姿は私たちの心に小さな明かりを灯すようです。

水仙のほのかな甘い香りに凍えた体が緩んでいくような情景を詠んだ歌です。

木下利玄は明治時代から大正時代にかけて活躍した白樺派の歌人です。

名前だけは知っていたのですが、これまで注目して歌を読んだことが無かったので、代表的な歌をいくつか探して読んでみたのですが、日常の中にある優しさや暖かさを切り取ったものが多いように感じました。白樺派らしいですね。

水仙の来歴

水仙の原産地は地中海沿岸で、大陸を経由して日本にやって来たとされています。

日本に伝わったのは、奈良時代とも室町時代とも言われていますが、古い時代の和歌には登場していません。群生している地域もあったとのことなので不思議です。

水仙にはリコリン (lycorine) とシュウ酸カルシウム (calcium oxalate)という毒の成分が全草に含まれているので、賛美することを控えたのかもしれませんね。

室町時代に編纂された下学集(かがくしゅう)には、「漢名水仙華、和名雪中華」と記されているそうです。

正式名称はニホンズイセン。学名はNarcissus Tazetta var. chinensis。

学名の最初に記されているナルキソス(Narcissus)はギリシャ神話に登場する美少年です。湖面に映った自分の姿に恋をして、見続けるうちに死んでしまい、水仙になったというお話は有名です。

日本ではナルシスという名前で知られていますよね。そう、自己愛の強いナルシストのナルシスです。

さて、次は水仙の香りの特徴やその効果についても見ていきましょう。

水仙の香り・効用

優しいほのかな香りを持つ水仙からは、精油も抽出されています。

二ホンズイセンとは少し品種が違い、クチベニスイセンという植物で、筒状の花びらの淵が口紅を付けたように赤くなっているものから採取されます。学名はNarcissus poeticus。

とても珍しい精油で、あまりお目にかかれないかもしれません。どこかで見つけたら香りを嗅いでみてください。

マッサージの使用はあまり無いようです。私も使ったことはありません。

水仙の精油の効果は鎮静作用と共に、高揚作用もあるとの事。抑うつ状態に有効だそうです。

日照時間が短く、うつ傾向になりがちなこの季節に水仙が咲くのは、香りを嗅いで元気を出してね!という植物からの贈り物なのかもしれませんね。


現代のように暖房設備が十分でなかった大正時代の人々の暮らしを思い描いてみてください。きっと、身の回りの事象から暖かさや安らぎを見出し、暖をとっていたのでしょう。

私たちもふとした気づきから、心持ちが変わることがあります。

短歌を作らないまでも、そんな気持ちで身の回りを眺めてみるのもいいかもしれませんね。

この記事を書いたコンシェルジュ

佐佐木景子/アロマプロデューサー

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