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養生今昔 2月~内敵には「勇」外敵には「畏」~

2020.2.4

寒さや気温の変化により心身の不調を起こしやすい2月。今ほど医療衛生が発達していなかった江戸時代の人はどのように病気に対処してきたのでしょうか?そのヒントは『養生訓』の中にありました。今回は貝原益軒の『養生訓』から、病気の原因と養生としての対処法についてお伝えします。

東京地方では1年で最も寒いのが2月ですが、今年は厳しさをあまり感じませんよね。しのぎやすいと思う反面、季節の「らしさ」が無くなるようで寂しい気がします。

そんな気候変動によって心身の不調を起こさないように、日々養生したいものです。

さて、今回は貝原益軒の『養生訓』から、病気の原因と養生としての対処法についてお伝えします。

内慾と外邪。『養生訓』に書かれた健康を害するもの

貝原益軒は『養生訓』の中で、養生の基本は健康を害するものを遠ざけることだと言っています。

健康を害するものには、「内慾(欲)」と「外邪」があります。

「内慾」とは、「飲食の慾」「好色の慾」「睡(ねぶり)の慾」「言語をほしいままにする慾」「喜・怒・憂・思・悲・恐・驚の七情の慾」です。

「外邪」は外気の状態のことで、風、寒、暑、湿の4つです。

内慾を慎む

『養生訓』の中には、それぞれの内慾を慎むには以下のことに注意を払うことが必要だと記されています。

飲食の慾
程よい量の食事をして、体を害すると言われているものは食べないようにすることで、病気を防ぐ。

好色の慾
色欲を謹んで精気(生命の根源の気)を惜しむことで、元気を損なわないようにする。

睡の慾
すぐに横になったり、長時間眠ったり座ったりしないようにすることで、元気を滞らせない。

言語をほしいままにする慾
言語を少なくすることで、元気の無駄遣いをしない。

七情の慾
過度の感情は元気を減らすので、心は平らに静かに騒がず常に和楽を心がけるようにする。

全体に、元気を減らしたり滞らせたりするのが良くないということのようです。

現代では食後は休んで消化を促進することが常識となっていますが、益軒はいっぱい歩く方が消化を助けるとしています。

同じ意味で、食べ物が消化しないうちに寝てはいけないとも言っています。これは現代でも同じことが言われていますね。

また益軒は、「慾を恣(ほしいまま)にして身をうしなうは、たとえば刀を以って自害するに同じ。」と不養生は自殺行為だとも言っています。

4つの外邪を防ぐ

人は自然と関わり自然に生かされています。しかし、風・寒・暑・湿の4つの気象現象が過度になると、自然によって健康を害されることになります。

『養生訓』の中で益軒は、外邪から身を守るためには、内慾を慎むことによって気の無駄遣いや滞りを起こさないようにすることが大切だと記しています。

現代的に言うと免疫力を高めることが大切ということでしょう。

『養生訓』の時代、治療よりも病気に罹らないことが大切

当時の病気治療は薬草療法と鍼灸治療でしたから、大病を患うと助かる命が少なかったと考えられます。そのため、病気にならないことがとても重要でした。

世界的にも長寿国と言われている日本ですが、現在は医療によって生かされている命が多いというのが現実です。

一方、『養生訓』が書かれた当時のご長寿さんたちは健康だったから長生きできたということです。

内敵に克つには「勇」、外敵に勝には「畏」が大事

『養生訓』の中で、丈夫な体で生まれてきた人も養生を怠れば短命になり、体が弱く生まれてきても養生を行えば長命になれると益軒は言っています。

大切なことは、内敵を克服するためには勇ましい心をもって強く立ち向かい、外敵には畏れの気持ちをもって十分注意を払うことであるとしています。

これは現代にも共通することだと思います。

暴飲暴食をせず適度に運動をして体を動かすことは健康維持に大切です。ついつい怠ってしまいますが、己の心を強く持って克服しないといけませんね。

また、「ちょっとくらいは大丈夫!」と思って、寒い所や暑い所で無理をしたり、乾燥や湿気を感じてもそのままにしてしまったりせずに、畏れの気持ちをもってこまめに対応しないといけないですね。


多くの人は、生まれつきの天命は長いもので、それを短くしているのは自分自身であると『養生訓』の中で益軒は言っています。

また、人生の三楽は、

  • 正しい道を歩んで楽しむこと
  • 病が無く快さを楽しむこと
  • それを長く楽しむこと

の三つだそうです。

富貴であってもこの三楽が無ければ真実の楽しみは得られないとのことです。

次回は、貝原益軒驚異の禁欲生活に迫りたいと思います。

この記事を書いたコンシェルジュ

佐佐木景子/アロマプロデューサー

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