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養生今昔 4月~体を整える~

2020.4.3

終息の見えない新型コロナウイルス感染症。慣れない在宅ワークや外出禁止などで、心も体も元気が無くなってしまっているという方も多いのではないでしょうか。今日は、貝原益軒の『養生訓』から、体を整える方法をご紹介したいと思います。今の生活に役立ててみてください。

危惧していたパンデミックが起こってしまいました。

人は太古の昔からいくどもウイルスと戦い、多くの犠牲をはらいながらも知恵と力を駆使して今日の繁栄を築いてきました。

今回も世界中の全ての人と力を合わせて、乗り越えていかなくてはいけないのだと思っています。

とはいえ、終息の見えないまま、慣れない在宅ワークや外出禁止などで、心も体も元気が無くなってしまっているという方も多いのではないでしょうか。

貝原益軒の『養生訓』から、体を整える方法をご紹介します。

ぜひ、今の生活に役立ててみてください。

心は主、体は家臣

益軒は『養生訓』の中で、心と体について次のように言っています。

心は人身の主君であり、耳・目・口・鼻・形の「五官」はそれぞれの職務を司る従者である。

耳は聞くこと、目は見ること、口は物言いや食べること、鼻は嗅ぐこと、形は頭・身体・手足のことなので動くことがそれぞれの役目です。

心は五官が正しく働くように管理監督しなくてはいけないし、五官はそれぞれの職務を正しく行い、暴走してはいけないと。

心と体を整えるためには、「言いたい放題」「食べたい放題」「もっともっとと見聞きする」などは避けた方が良いということですね。

現代は情報量が多く、さまざまな刺激により経済を成り立たせようとしているところがあるので、「主」である心がいつも乱されている状態なのかもしれません。

心が平らかで安寧であるために、時々冷静に今の生活を省みることも必要なのでしょう。

『養生訓』に見る、居室と家具

『養生訓』の中で益軒は、常にいる部屋は南向きで明るい部屋が良く、陰鬱で暗い所に長くいると気がふさがって良くないと言っています。

これは現代でも同じですよね。南や東向きの部屋の方が家賃も高いですから。

ただし、明る過ぎはダメだそうです。光が強すぎる時は簾をおろし、明暗の中庸が良いとしています。

部屋や食器は、飾りが無く質素で清潔であること。華美を好むとおごりとむさぼりの気持ちがわいて心を苦しめて養生の道に反するとしています。

外出がままならない日々が続き、今後の経済にも影を落としている時期なので、『養生訓』を参考にして、心と体を整えるために、今一度身の回りの生活を見直してみるのも良いかもしれません。

また、隙間風が体に良くないとしています。昔の家は隙間風が入ることが多かったのでしょう。逆に現代では密閉度の高い部屋が多いので、換気には注意をしないといけないですよね。

座る時は姿勢を正しく

『養生訓』では座る時の姿勢についても言及されています。

益軒は座る時は正座、ゆっくりとするときは胡坐(あぐら)が良く、腰をかがめたり、偏った姿勢をとったりしないようにと言っています。

中国では座椅子がありそれに座るのが良いようだとも言っています。

『養生訓』が書かれた当時の日本には椅子は無かったので、座椅子に座って姿勢を正すことをすすめています。

椅子に座ることができるようになった現代ですが、姿勢を正しくして座っている人は少ないかもしれません。長時間の椅子の使用で、脚がむくみやすくなったり、腰が痛くなったりする人が多いようです。

足首回しや立ち上がって伸びをするなどの運動を時々行うようにすると、姿勢のゆがみが整います。

テレワークなど慣れない環境で仕事をしている方も多いと思います。皆さんも『養生訓』を参考に体を整える姿勢を意識してみてはいかがでしょうか。

入眠時は横向きになり脚をまげて寝る獅子眠の姿勢で

『養生訓』に記された寝る時の環境や姿勢。心と体を整えるためには上質な睡眠が必要という現代の常識にも当てはまるため参考になります。

『養生訓』では、寝る時には正気を受ける東枕にして、死気をうける北枕は避けた方が良いとしています。

灯りをつけて寝ると魂が落ち着かないので暗くして寝る、口を開いて寝ると真気を失い、早く歯を失うので、口は必ず閉じて寝るようにと教えています。

現代でも、なるべく暗くして寝ることや口を閉じて寝ることは推奨されています。光を感じると脳が休まらないし、口を開けて寝ると気管を痛めやすく風邪を引きやすいからです。

次に寝る時の姿勢ですが、横向きが良いと言っています。仰向けは胸が苦しくなり、うつ伏せはよだれが出て見苦しいからだそうです。

布団に入ってもまだ寝ない時は脚を伸ばし、胸や腹が滞っているようなときには胸から腹を擦り下ろします。

気の滞りを感じたら足の親指をしきりと動かすと、あくびが出て自然と眠くなると言っています。

また寝入る時は横向きになり脚をまげて寝る獅子眠(ししみん)の姿勢をとるのが良いそうです。動物の寝やすい姿勢は、人間も寝やすいということなのでしょう。

これは書いてありませんでしたが、肘と膝は曲げても良いと思います。真っすぐですと布団から脚が出てしまいますし、少し辛い姿勢ですから。

1日1回のマッサージで体を整える

『養生訓』では、体を整えるために頭から足先まで全身をマッサージすることをすすめています。

手順を説明します。

1)頭のてっぺん(百会のツボ)、頭全体、両眉の外側、眉じり、鼻柱の脇、耳の前、耳の後ろを押します。

2)頭の後ろ(風池のツボ)、首を揉みます。

3)両肩、両肘、両腕を撫で、手の十指をひねります。

4)背中を押しながら動かします。

5)腰、胸、腹、両股、両膝、ふくらはぎの前面と後面、くるぶし、足の甲、足の裏を両手で撫でます。足の十指はひねります。関節は特に丁寧に行います。

このマッサージは、自分で行っても誰かにやってもらっても良いそうです。

家の中にいて運動不足になりがちなこの頃なので、『養生訓』を参考にぜひ、全身マッサージで気血の流れを良くし体を整えるようにしましょう。

そしてそのあとは、獅子眠で快適な睡眠をとってください。

ウイルスに負けない心身の健康を、日頃の養生で作っていきましょう。

この記事を書いたコンシェルジュ

佐佐木景子/アロマプロデューサー