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短歌にみる植物物語 ~12月 山橘/藪柑子~

2019.12.2

「短歌にみる植物物語」、今年最後に取り上げるのは「山橘(ヤマタチバナ)」。別名「藪柑子(ヤブコウジ)」「十両」とも呼ばれます。かわいい赤い実がおめでたい感じがする植物です。そんな山橘を詠んだ一首を、再び万葉集から選んでみました。植物の活用と効果についてもご紹介します。

早いもので1年の締めくくりの月になってしまいました。

イベントも多く、片付けておきたいこともたくさんあって、何かと気忙しい月ですが、新年への抱負が芽生えてくる時期でもあるように感じます。

希望を胸に一歩を踏み出すような一首を、再び万葉集から選んでみました。

登場する植物は「山橘(ヤマタチバナ)」。別名「藪柑子(ヤブコウジ)」「十両」とも呼ばれ、そちらの方がなじみ深いかもしれませんね。

そんな植物の活用と効果もご紹介します。

短歌にみる植物物語 ~12月 山橘~

この雪の 消残る時にいざ行かな 山橘の実の照るも見む  -大伴家持

【原文】
此雪之 消遺時尓 去来歸奈 山橘之 實光毛将見

【読み】
このゆきの けのこるときに いざいかな やまたちばなの みのてるもみむ

【意味】
降り積もった雪がまだ消えないで残っているうちに、山橘の赤い実が照り輝いているのを、さあ!見に行きましょう。

天平勝宝2年(西暦750年)12月、大伴家持が33歳の時に詠んだ歌です。

山橘(やまたちばな)はヤブコウジ(十両)のこと。雪の下からヤブコウジの真っ赤な実が照り映えるように顔をのぞかせている様子は、閉ざされた寒い冬の後には、色鮮やかな春がやってくるということを表しているようです。

新しい時代へ、希望に向かって「さあ行こう!」と言われているように感じる一首です。

白と緑と赤の色のコントラストも印象的です。

藪柑子(ヤブコウジ)

別名「十両」とも言い、「山橘」の名で古典の書物によく登場します。

サクラソウ科ヤブコウジ属で、よく似た植物に「万両(ヤブタチバナ)」、「千両(クササンゴ)」、「百両(カラタチバナ)」、「一両(アリドウシ)」があります。

ヤブコウジは夏に花を咲かせ、12月には真っ赤な実をつけます。濃い緑色の葉と真っ赤な実は似ていますが、それぞれに葉と実の付き方が違っています。

どれも景気の良い名前なので、縁起物としてお正月に飾られることが多い植物です。

江戸時代の落語に「寿限無」というお話がありますが、縁起が良いものを連ねたその長~い名前の中にも「やぶらこうじのぶらこうじ」として入っています。

よく似た植物にメギ科ナンテン属の「南天」があります。こちらも「難を転じる」と通じることから縁起の良い植物とされています。

さて、次はヤブコウジの効果についても見ていきましょう。

ヤブコウジの薬効・効果は?

南天は咳や喉の不調に効果がある植物として有名ですが、ヤブコウジにも同じような効果があるそうです。

11月頃に根茎を採り水洗いして細かく切ったものを天日で乾燥させます。煎じて飲むと咳止めや化膿性の腫れものに効果があるとのことです。

中国では全草を使い鎮咳だけではなく、幅広い呼吸器疾患に利用しているとのことです。


年の初めに「今年こそは!」と願ったことは達成できましたでしょうか?

私は毎年反省しつつ12月を過ごしています。

でも懲りずに「来年こそは!」と再び誓いを立てて前に進んでいこうと思っています。

混沌とした時代であるからこそ、植物たちのようにシッカリ根を張り、目指すところに向かって幹を育て枝葉を広げて、綺麗な花を咲かせたいものです。

美味しい実が成ったらもっと良いですよね。

今年も1年ご訪問くださり、ありがとうございました。

この記事を書いたコンシェルジュ

佐佐木景子/アロマプロデューサー

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