ビューティー&ウェルネス情報

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”はじめまして”のご挨拶と、私と自然療法の文化歴史の生い立ち

2016.2.28

オーガニックやナチュラルなヘルス&ビューティケアがトレンドを経て浸透してきました。ハーブや生薬をはじめ、所謂”自然の恵みを頂いて健康に綺麗になる”のは海外の文化?日本では?そんな事を旅をしながら商売をしながら綴ってまいります。今日ご紹介するのは薬のまち、大宇陀。日本最古の民間薬農園、森野薬園をご紹介します。

日本最古の最高の倉庫、正倉院

初めましてのご挨拶と自己紹介フロム奈良

初めまして。植物療法士・漢方養生指導士・メディカルハーブコーディネーターの和田真季と申します。

その様な療法士、講師としての活動と、ヘルス&ビューティの商社の経営をしています。

商社というと業務内容が分かり辛いかも知れませんが、ヘルス&ビューティに係わる原料から店頭・販促までのお仕事をさせていただいており、セレクトショップや飲食の運営もしております。

何だか手広くばたばたとやっている印象(実際にそうかも知れません…)が、全ては「本物を的確にお伝えしたい」ためです。

自然療法の知識やお知恵や、その背景を元に大切につくられたものが、現代の人々の健康や元気のお役に立てたらと切に思っております。

その様な活動の中で、日本中、世界中を旅する機会を頂戴しています。

そうして気づいたのが日本の素晴らしさ。そして、辿り着いたのが奈良の東大寺にある正倉院でした。

健康美容、のみならず医療や薬学、福祉の文化歴史の原点が此処に在りました。

実は私は奈良人。奈良生まれ、奈良育ちです。ここに戻ってきた事を嬉しく思い、ご縁を感じます。

日本人と自然との共存共栄、自然の恵みを健康や美容に生かすお知恵は縄文時代から始まり、飛鳥・奈良時代から記録・物象化されてきました。

その様な歴史文化の背景と共に今も日本中に伝承されるお知恵や生産物、その土地の事と共に綴って参りたいと思います。

今回コラムを書かせていただくにあたって、どの様な内容にしようかと悩みましたが、多角経営?だからこそ書ける旅の事、各地の事…文化・歴史・植物・動物・原料・生産・製品・流通・販促…色んな面から書かせていただこうと思います。

自然由来の製品の使い方、頂き方についても、さまざまな面からアプローチできる万能さをお伝えできればと思っています。

日本最古の最高の倉庫、正倉院

日本最古の最高の倉庫、正倉院

日本の健康美容の文化のスタートを知るには、この倉庫からスタート!

薬のまち、大宇陀

今回の奈良の滞在中に訪れたのが、大宇陀(おおうだ)という地域。”薬のまち”として有名な土地です。

奈良県の東北部に位置する大宇陀は飛鳥時代から「阿騎野(あきの)」と呼ばれる宮廷の薬猟の地でもあり、『日本書紀』推古19年(611)5月条に

夏五月の五日に、菟田野(うたの)に薬猟す。鶏明時を取りて、藤原池の上に集ふ。会明を以て乃ち往く。(以下、略)

といった記載があります。(菟田野とは宇陀野を指します)

良質な水と寒冷な気候がある事から、葛の栽培が盛ん。そんな宇陀に”森野薬園”は在ります。

250種の薬草、和ハーブなどの植物が生育

森野薬園は私園の薬園では最も古く、江戸時代には8代将軍徳川吉宗の”国内産で漢方薬を普及させる”という国策に貢献されたそうです。

明治以降日本に新薬が入る等して国内の官園、薬園が次々と廃園になる中で、江戸時代の面影をそのまま残している希少な薬園という事から大正15年には国の史跡名勝保存法により史跡に指定されました。

森野旧薬園

森野旧薬園

日本最古の民間薬農園、森野旧薬園

森野旧薬園では、約600㎡の山肌に多数の薬草木が生育していて、お散歩をしながら植物の事や薬学を学ぶことができます。

ただ、木々や花の様子を見ながら散策するだけでも癒されます。

余りの気持ち良さにぼーっと歩いていると、お目当ての薬草や和ハーブなどの植物を見落としてしまう事も。

園内には常時ある有名な薬草154種を含めて250種の薬草、和ハーブなどの植物が生育しています。(一部、観賞用の植物もあり。)

春にはカタクリ、タンポポ、ボタン…と花が美しく(一番のおすすめは4~5月!)、夏にはユリ、ハッカ、クコ…、秋にはサフランやフジバカマ、そして冬は葛の採掘と加工の季節。

吉野葛の寒ざらしが始まります。

薬園はお宝の宝庫!?お馴染みのハーブから毒草まで

薬園はお宝の宝庫

薬園は広く、様々な植物が栽培されています。
昔の地図がなかなかレトロ。

松山本草図譜抄録 草上13-14頁(森野旧薬園と松山本草 より)

松山本草図譜抄録 草上13-14頁(森野旧薬園と松山本草 より)
植物の様子、期待される効果効能、育て方の記録が残っています。

いきなり生薬?お薬?漢方のお話?と思われるかも知れませんが、そうではありません。

漢方や生薬のお話は、ご興味がある方も近年増えているように感じますが追って書かせていただこうと思っています。

こちらの薬園には本当にさまざまな種類の植物があって、例えば御馴染のタンポポなどもありますし、毒草のトリカブトなども生息しています。

タンポポは観てもかわいらしいですが、解熱・発汗・健康胃の効能がある事から生薬の原料ともなりますし、ハーブ療法でも使用します。

画像の右端に載っているのは紫根。生薬名はラテン語でLITHOSPERMI RADIX。基原はムラサキ科のムラサキです。

解熱の効能があると昔から生薬としても有名です。

紫根牡蠣湯(しこんぼれいとう)・紫草快斑湯(しそうかいはんとう)・紫雲膏(しうんこう)・紫草消毒飲(しそうしょうどくいん)等の漢方薬に使用されています。

春に咲く白い花も美しいですが、やはり色として注目すべきは紫色。紫色は高貴な色とされてきましたが、紫根にはその紫の色素がたっぷり。紫色色素としてナフトキノン類であるシコニンと、その誘導体であるアセチルシコニン、アルカニンなどが含まれおり草木染の染料としても使用されています。

また、近年では化粧品の原料としても注目されています。エイジングケアにとテレビ番組で紹介され、化粧品原料としても紫根エキス等が使用されたり見かけたりする事が増えました。

この様に、1つの植物でも使い方はさまざま。

植物や生産の背景や歴史をお伝えしつつ、具体的な使用方法も織り交ぜて綴っていきたいと思います。

この記事を書いたコンシェルジュ

橋本真季/植物療法士・漢方養生指導士