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起こりやすい頭皮トラブル、脂漏性皮膚炎と乾皮症

2021.8.26

こんにちは。シャンプーソムリエ認定講師の淡輪雄希です。

頭皮のトラブルで起こりやすいのが、脂漏性皮膚炎と乾皮症。どちらも皮脂量が関係しており、皮脂量が多いと脂漏性皮膚炎、皮脂量が少ないと乾皮症に繋がります。

今回はこの2つの症例と特徴、日頃のセルフケア方法をお伝えしたいと思います。

頭皮

皮脂膜の成分

皮脂膜という言葉は聞いたことがある方も多いと思いますが、まずは実際にその成分について詳しく見ていきましょう。

  • 皮脂
    真皮層にある皮脂腺から分泌され、ワックスエステル、スクアレン、トリアシルグリセロールなどが含まれています。
  • 表皮脂質
    角質層細胞由来の脂質で主にセラミド類、遊離脂肪酸、コレステロールで構成されています。
  • 皮脂膜
    頭皮の皮脂と表皮脂質が混ざりあったものを皮表脂質と言い、そこに汗が加わることで皮脂膜となります。

この皮脂膜によって紫外線や細菌、その他の外的要因から頭皮を保護したり、潤いが保たれています。

皮脂量が多い場合になる「脂漏性皮膚炎」とは

髪をかく 男性

脂漏性皮膚炎は、皮脂腺が多く、皮脂の分泌が多い頭皮や顔(鼻の周りなど)に起こりやすい皮膚疾患です。特徴として、かゆみにより皮膚が赤くなったり、皮膚が荒れて角質が剥がれるなどの症状が見られます。また、酸化により独特の匂いが出てくることも。

臭いの原因、皮脂膜の酸化についてはこちらの記事に詳しく書かれていますので、こちらをご覧ください。

脂漏性皮膚炎の原因「常在菌」

近年は皮膚の常在菌であるマラセチア菌が脂漏性皮膚炎に関与していることが認識されています。

普段は無害なマラセチア菌ですが、皮脂を栄養源としているため、皮脂量が多い状態でいると増殖してしまい、頭皮トラブルの原因となるのです。

具体的にお伝えすると、マラセチア菌は、皮脂の成分であるトリアシルグリセロールを分解して脂肪酸にするのですが、マラセチア菌が増殖すると、この脂肪酸も増えてしまい、さらに酸化した脂肪酸(特に不飽和脂肪酸)が皮膚に刺激を与え続けるとされています。そのため、増殖したマラセチア菌も皮膚に炎症を起こすと考えられています。

マラセチア菌による皮膚の炎症を軽減するには?

マラセチア菌のよる皮膚の炎症を抑えるためには、シンプルにマラセチア菌を減らすことが必要になります。そのためには、マラセチア菌の栄養源となる皮脂の分泌量を抑えることが重要となります。お医者様でしたら、症状が軽い場合や再発防止に抗真菌外用剤が処方されるかと思いますが、私たちが日頃のケアとして出来ることは、余分な皮脂の洗浄をすることとなります。

余分な皮脂の洗浄をするためには

一般的には、抗菌効果のある界面活性剤ラウリン酸ポリグリセリルー10高配合のシャンプーを使用することをおすすめします。また、皮脂分泌の多い方は、ビタミンB2、ビタミンB6が体内に少ない傾向にありますので、ビタミンB2(レバー、納豆、チーズなど)、ビタミンB6(レバー、魚類など)を摂取するなどがあげられます。

皮脂量が少ない場合になる「乾皮症」とは

洗髪 男性

皮脂が減っていくのに伴って、皮膚のバリア機能が損なわれ、乾燥し角質が剥がれ落ちた状態を乾皮症と言い、さらに痒みと皮膚炎が加わると皮脂減少性皮膚炎と呼ばれる炎症をまねきます。

特徴は皮膚表面がガサガサしていたり、白い粉が吹いたように見え、ひび割れができ痛みや痒みが伴うこと。また、乾皮症を引き起こす原因として下記のような内容があげられます。

乾皮症の原因① 皮脂膜のバリア機能の低下

皮脂膜は外からのウイルスや有害物質の侵入を防ぎ、肌に含まれた水分の蒸発を抑えているのですが、このバリア機能が損なわれることにより、体内の水分が外に出てしまい、乾燥してしまうことで外からの刺激に敏感になり痒みが発生します。

乾皮症の原因② ターンオーバーの乱れ

また高齢者の方はターンオーバー(肌が新しくなる周期)がゆっくりなため体内の水分が表皮の角質層までいかず乾燥しやすくなっています。

お客様で頭皮に引っ掻き傷がある方を診断すると、ほとんどの方が乾燥肌。乾燥して痒くなり、掻いてしまう、という悪循環に陥りがちですが、掻いてしまうと、どんどん炎症が進行していくため、掻かないことが大切です。

乾皮症を防ぐためのデイリーケア

乾皮症を防ぐためのデイリーケアとしては、皮脂量の減少と乾燥が原因ですので、脱脂が弱く保湿効果のあるシャンプーを使うのがおすすめです。その他にもシャンプー後に頭皮の保湿をしてあげたり、肌の乾燥を防止するビタミンA(卵、チーズなど)の摂取があげられます。

まとめ

いかがでしたか。皮脂のお話は何度か出てきていますが、今回はその皮脂が関わる頭皮トラブル、脂漏性皮膚炎と乾皮症について深掘りさせていただきました。

皮脂はありすぎても、なさすぎてもトラブルの原因になってしまいます。

1つのシャンプーをご家族で使われている方もいらっしゃると思いますが、年齢や環境、季節などにより皮脂の分泌量が違ってくるため、頭皮トラブルを未然に防ぐためにはできる限りご自身に合ったシャンプー剤を日頃から使用し、洗髪後はしっかり濯ぐことが重要です。

例えば、皮脂量の多い方が洗浄力の弱いシャンプーを使用すれば皮脂が残ってしまいますし、皮脂量の少ない方が洗浄力の強いシャンプーを使用すれば、皮脂を流しすぎてしまいますよね。

また、頭皮につけるものだけではなく、身体をつくる食べ物にも気を使うことが大切になってきます。

痒みや乾燥など自覚症状がなくても気になるという方は、まずはご自身の頭皮の状態と皮脂量について調べてみてはいかがでしょうか?
なかなかご自分の頭皮をしっかり見ることもないかと思いますので、定期的にマイクロスコープがある美容室などで頭皮をみてもらうことも大切な頭皮ケアにつながりますよ。

シャンプーソムリエアカデミー認定講師
淡輪雄希

tsubomi +
オーナースタイリスト兼シャンプーソムリエ

この記事を書いたコンシェルジュ

一般社団法人シャンプーソムリエ協会

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